D2CdotのアプリUI改善チームにインタビュー! “イイことだらけ”の『ユーザーインタビュー』とは?

D2CdotのアプリUI改善チームにインタビュー! “イイことだらけ”の『ユーザーインタビュー』とは?

今回ご紹介するのは「写真を加工して印刷ができるアプリ」のリニューアル開発プロジェクトです。D2Cdotの人間中心設計専門家である私五十嵐がプロジェクトに参加し、ペーパープロトを用いたユーザーインタビューを実施。一緒にインタビューを実施したアプリ改善チームの2名と共に、今回のユーザーインタビューで得られたことや今後についての思いを語り合ってみました。

プロジェクトマネージャー:PM福住さん
デザイナー:D牧田さん
アナリスト:A五十嵐 (HCD-Net認定 人間中心設計専門家)
(司会:UXデザイン室桜木さん)


司会:ユーザーインタビューを実施することになった経緯を教えてください。

PM福住:今回のプロジェクトのスタート時、クライアント様からは「アプリを使いやすくリニューアルしたい」という、ざっくりとしたご要望を頂いていました。この時点では、スケジュールも余裕があったので、せっかくなのでユーザーインタビューを実施してみたいなぁというくらいで考えていました。

本当に取り入れることを決めたのはキッカケがありまして、打合せを重ねる中で、クライアント様から別のアプリをリニューアルした時のお話を伺ったからです。

クライアント様は、数年前に自社で運営しているとあるアプリをリニューアルした際に、なんとユーザー数が減ってしまうという経験をされたそうなのです。「それがトラウマになっています・・・」と話してくださいました。

それを伺って、『今までのアプリを使っていらっしゃるユーザーの視点』、『新規ユーザーの視点』、『開発陣の視点』など多様な視点から生まれてくる改善の方向性をチューニングしていくためにも、今回はユーザーインタビューを行い、ユーザー視点をしっかりと取り入れて、デザインをブラッシュアップする必要があると考えました。

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司会:牧田さんは今回ユーザーインタビュー初体験だったそうですが、ユーザーインタビューに参加してみてどうでしたか?

デザイナー牧田:ユーザーインタビューの結果から、「こう改善したらいい!」という方向性が明確にみえてよかったです。

チームでは、プロジェクトがスタートしてから20程度の競合サービスを実際に使ってみて、どんなUIがいいのかの検討を重ねてきました。そのプロセスを経て作成したリニューアルUI案は、このサービスにおける『現時点で一番使いやすいUI』といえるものを組み上げたつもりでいたんです。

ところが、ユーザーインタビューを行ってみたところ、モニター全員が操作につまずく箇所が出てきてしまいました(苦笑)。4人とも操作につまずく様子を見ていたので、「ここは絶対直さなければ」と思うことができました。

また、開発前のデザイン制作段階でユーザーが操作につまずく箇所を知ることができたので修正も進めやすくて良かったと思っています。ワイヤーフレームではなくデザインまで進行した状態で行ったので、画面を展開するのは少々骨が折れたのですが、配色などに関する気付きもあったので、今回はそれが吉と出たなと思います。

あとは、そもそも我々が想定していたユーザーの「メンタルモデル」が違ったということに気がつけたのもよかったです。自分たちが写真加工するアプリを使う時には、職業柄「この写真はこんなイメージで仕上げたい」と出来上がりのイメージから考え始めるのですが、一般の人は「とりあえず候補となる画像を全部選択してから細かい編集をしたい」という違いがあったんですよね。

こんな風に、そもそも想定していたユーザーインサイトが違っていることにデザインの段階で気が付けたのがとても良かったです。

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司会:五十嵐さんは今回のプロジェクトでユーザーインタビューを企画・推進してみてどうでしたか?

アナリスト五十嵐:今回は、デザイン段階でユーザーインタビューをしたいという依頼だったのですが、この時点でアプリに必要な画面のデザインもかなり作成されていたので、モニタと一緒にUIを考えていける”ペーパープロトタイプ”という手法を提案しましたが、狙い通りの成果を生み出せたと思っています。

例えば、担当者には思ってもいなかったような操作のつまずきを発見することができたり、その発見に基づいてフローの変更に踏み切ることができた、というような成果がありました。これらの成果を得られたことで、社内メンバーにもインタビューの効果を認識してもらうことができたと思います。

いったん開発が始まると、後から修正したいと思うことがあっても、スケジュールやコストがネックになって修正できないということも多いのですが、デザインの段階でペーパープロトタイプが実施できると、スケジュールやコストへのインパクトをおさえることができます。この点についても、今回一緒にやったメンバーには理解してもらえたと思います。

実際のインタビューは、紙でモックアップできるように準備を進めました。プロジェクトメンバーが社内にいるので、どんな素材がどのくらいあるかなどの確認がしやすく、スムーズに企画・準備を進めることができたと感じています。

また、今回インタビューに参加した2人は、一般の方に参加していただくタイプのユーザーインタビューが初体験だったのですが、ペーパープロトタイプの手法をよく理解して積極的にインタビューに参加してました。そのため、4人のモニタへのインタビューを通じて、デザインをどんどん推敲しブラッシュアップしていくことができたと思っています。

今回のように効率よくデザインをブラッシュアップすることができたのは、インタビューまでに、改善すべきデザインをしっかりと検討していたり、検証すべき操作のポイントが想定できていたりしたからだと思いますが、2人のプロジェクトに対する真摯な姿勢があってこそだと感じました。

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司会:福住さんはPMとしてユーザーインタビューを経験してみてどうでしたか?

PM福住:さきほど、デザイン画面が多く準備してあったという話が五十嵐さんからありましたが、実はユーザーインタビューの前までの段階で、アプリのデザイン・構造はほぼ固まっていたんです。このデザイン・構造は、クライアントも含めて何回も検討を重ねてきたものだったので、プロジェクトの全員が「いいモノ」になっていると考えていました。

しかし、実際にインタビューをしてみると、モニタの「4人中4人が操作につまづく」箇所があり、インタビュー中のモニタの様子や言葉からも、自分たちの考えが誤っていたことに気づき、改善すべきだと判断しました。クライアントも確認済みのデザインではありましたが、ユーザーインタビューの結果を説明しながらクライアントにフローの変更を提案したところ、変更の必要性をすぐに理解してもらうことができました。

この時のクライアントとのやりとりから、ユーザーインタビューの結果があることで、「どういうアプリを作ればいいのか」をプロジェクトメンバーのひとりひとりがイメージをしやすくなり、開発がスムーズに進められると感じました。

自社事業に携わっていた時には、キックオフとしてユーザー像のすり合わせをしっかりと行うことが多かったのですが、受託案件だと、キックオフを行っても定量データなどの表面的な情報で目線のすり合わせを済ませてしまうことが多いと感じていました。

そうなると、すり合わせをした気ではいつつも一人一人が同じ目線で考えることが本質的には出来ていなかったりして、それぞれの立場によって「お金のこと」「開発工数のこと」「自分が使いやすいと思う」など、無意識に個々の目線で考えてしまいます。検討期間が長く、関係者が多いほどそうなりやすい気がしますね。こういう場合にユーザーインタビューを体験すると、プロジェクトメンバーの目線をそろえやすくなると思いました。

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司会:ユーザーインタビューを今後も他のプロジェクトで活用できそうですか?

PM福住:ユーザーインタビューの効果は、「こんなに良いですよ」と言葉で説明してもなかなか伝わりづらいと思うので、実際に自分のプロジェクトで経験してもらうのが一番なのかなと思います。自分たちとしては、今回、プロジェクトに導入したことで多くの気付きを得ることができたので、ぜひ今後も活用していきたいです。また、今回は出来なかったのですが、クライアント担当者にもユーザーインタビューに実際に参加してもらうなどの取組もやってみたいと思っています。

司会:今後も今回のようなメンバーで様々なプロジェクトに取り組んでいけたらいいですね。

PM福住:アプリへの集客は様々な取り組み事例が数多くあります。しかし、離脱やCVR改善は、ユーザーの行動に向き合い、ユーザーの行動を理解して改善に望まなければ、成果をあげることにはつながらないと考えています。今回のようなユーザーの視点を取り入れて開発に活かしていく活動は、もっと実績を積みつつ、社内外に広めていきたいと考えています。

アナリスト五十嵐:役割と経験が異なるメンバーが集まり、真摯にプロジェクトに取り組むことで、それぞれの能力を最大限に発揮できると思いました。D2C dotでのサイト制作・アプリ制作では、今回のように様々なメンバーがアサインされていますが、ユーザーの視点を取り入れた開発ができることを強みにしていけるよう、もっと社内外にアピールしていきたいです。

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